2006年04月

商品開発ヒット連発の秘訣

●先日のNHKTVの某番組をご覧になった方もあると思います。平日の22時からの番組なので、見られなかった方もあるでしょう。成岡は、ばっちりビデオに録画しておきました。某大手飲料メーカーの、ヒット連発の商品開発部長の奮戦記でした。

●その方は、キリンの「佐藤 章氏」40歳の半ばだったと思います。年間、おびただしい数の新しい飲料商品が世に出るなかで、毎年毎年、びっくりするような数字の新商品ヒットを飛ばす、業界では有名な方だそうです。成岡は、この番組までその存在を知りませんでした。

●ビールメーカーの飲料部門の新商品開発の責任者で、当初はビールの営業からスタートされたそうです。そして、幾度の挫折を経て、現在のポジションにたどり着きました。ここ数年、毎年大きなヒットを飛ばし続けています。その秘訣にNHKが迫りました。

●1時間くらいの番組なので、この紙面ですべてを伝えることはできませんが、ヒントはお伝えできるでしょう。まず、「サプライズ=心地よい驚き」を生むこと。商品に対する一目惚れのイメージが消費者がもてないといけません。CVSの飲料ケースでの前では、2秒間の間に消費者は商品を選択するのです。

●確信犯の一人がすべてを決定していく。これも、重要。民主主義や合議制では商品開発はできません。思いいれのある一人が、とことん、商品に惚れ込んでのめりこんでいかないとダメなのです。その一人に、あらゆることの決定をさせます。役割分担はしません。

●会社の都合で商品を作らない。社長が言ったから、上司がこう言ったから、誰それが何とか言ったから。研究所からこう言ってきたから。一切、妥協はしないそうです。もちろん、組織ですから、きちんと礼儀は守るにしても、自分たちの都合で商品を作らないことが重要です。

●最期に、チームで仕事をする。佐藤さん自身は、自分でも語っていましたが、決して優秀な企画マンではないと。魅力的なスタッフを集めて、彼らをその気にさせるのが、仕事です。魅力的なスタッフを集めるのも能力だと思います。彼らに語る時の情熱と表現は、すごい迫力とパッションです。

●いい人間がいい商品を生み出すそうです。いい人間とは、表現が難しいですが、いい性格、思いやり、気配り、雰囲気を感じ取る能力、周囲が見えること。その感性が、ヒット商品を生み出す原点なのだそうです。

●年間500万ケース販売したらヒットといわれるなかで、4年続けて1,000万ケース販売した商品を続けて生み出した能力は尋常ではありません。学ぶことが多い番組でした。いつか再放送があると思います。見逃した方は、ぜひ、ご覧ください。

継続した理念の重要性

高校の同窓会の機関誌の編集委員長を拝命し、特集記事の取材で卒業生の先輩方を3人電話取材させていただいた。いずれも、実業界でご活躍の先輩方だ。

いまの母校に対する要望として、いずれの方も、創設の開校当時の原点に立ち返ることを強調されていた。50年経って、創設のスピリッツがなくなっていていると、危機感を持って語られた。

企業も同じなのだろう。50年、いや、30年くらい経つと、創業当時の苦労を知っているメンバーもほとんどいなくなり、DNAを継承するのは、非常に困難になる。

組織が継続していくことは、非常に難しいことだと、改めて感じた。

各自のミッションを明確に

●4月から新年度になり、新しい環境、新しい組織、新しい計画でスタートされた方も多いかと思います。何事も、新しいと言うことは、慣れないので疲れる反面、新鮮であり、また、ヤル気も出てくるものです。

●そこで気をつけるべきは、組織やメンバーのミッションが明確になっていないことが多いのです。もっと大きく言えば、会社のミッションが何か?ということから始まります。まず、この会社は、何をするところかからスタートします。

●会社のミッションが明確で、次に部署や組織のミッションがクリアーになります。そして、そこに所属する各メンバーのミッションが明確になるはずです。ミッションを明確にすることは、組織を運営し、マネジメントしていく上で、非常に重要なことです。

●まず、組織図を描いて、一人ひとりの役割を明確にしていきましょう。簡単に見える業務でも、誰が、何を、どうやって、を書き出してみると、意外と曖昧だったり、明確になっていなかったりすることが多いものです。

●日本の会社組織では、かえって曖昧にしておいたほうがいいんだ、という風潮も多いこともあります。しかし、それでは、いつまで経っても組織は成長しません。評価ひとつとっても、ミッション、すなわち課題が明確でないと、評価もできません。

●職制の役割も重要です。誰が、何に責任を持っているのかを明らかにしないといけません。最終の責任を持つのは、当然代表取締役ですが、一般のメンバーから始まって、誰が、何に責任を持つのかを明確にしましょう。

●一人ひとりのミッションを明確にすると、そこだけに集中して、周囲のことに目配りできないと言う方もありますが、そんな風土自体が間違っています。ミッションを明確にすることと、メンバーが協力することとは、別物ではありません。所詮、組織と言うものは、一人で成り立つものではありません。

●4月新年度の開始にあたり、まず、ミッションを明確にしましょう。そうすると、仕事への、課題へのパッション=情熱が湧いてくるはずです。人間は、情熱をもてないものには、達成の意欲も、取組むモティベーションももてません。

●ミッションを決めていくときには、一人ひとりの納得感が重要です。一方的に決めても、納得感がなければ絵に描いた餅になります。組織のトップは、考えたミッションの「刷り合わせ」をしてください。そして、メンバーみんなが、ベクトルをあわすことです。そうすれば、会社は、どんどん良くなっていくこと、間違いありません。

友人の起業に乾杯!

先日、知人の紹介で、東京の浜松町港区商工会館で、クラブフォーラムワンという例会に招かれて、講演をさせていただいた。久しぶりに、東京に行ったので、欲張って、色々な人に久しぶりに会ってきた。

高校の同級生のH君が、今までの会社を辞して、企画会社を起業したので、事務所開きのお祝いに行ってきた。築地旧電通本社から徒歩2分くらいの便利なところだった。

まだ、がらんとして、当日、事務所開きの神事が終わったところだったが、オフィスの真ん中に大きなデスクが入る予定で、そこに、多くの人が出入りして、面白いビジネスのミーティングが行われるのだという。

50歳を過ぎても、パッションがあれば、まだまだ、団塊の第2世代という我々も、元気があるんだと心強く感じた。

老舗の後継者選びは血族にこだわらない

●老舗の最大の課題は、家職が永久に継承されていくことです。何より、この「家職継続」がすべてに優先します。ある意味では、経営者や当主の基本的人権より優先し、尊重されます。それが、いいか、悪いかの議論は別にして、「人は一代、名は末代」です。

●従って、「家を保つ道は、勤と倹にあり。奢りに長じ易し、慎むべし。長く楽んと欲せば、分を守り、信心慈悲を忘れず、心を常に快ぶべし。」なのです。家職は永久に相続されるものなのです。

●後継者に家職を引き継ぐとは、非常に重たいものがあります。現在の単なる遺産相続とはわけが違います。財産、経営権、企業価値、その他あらゆるものが引き継がれます。何と言っても大きいのは、ビジネスをしていく上での「信用」だし、「ブランド」です。

●そのための「家業継続のための後継者選定」には、なかなか、すさまじいものがあります。「主人始め家の内男女とも心得違いいたし、申し立て不埒いたしは、何方より何と申し立て共押し込み、隠居させ・・・・(略)」とあります。

●また、「実子が家名不相続の人物であった場合には、家督相続の地位を去って隠居するか、放逐され、代わりに家職を継ぐに適任の人物が他から選ばれ、相続者として迎え入れられる。」

●さらに、「実子でも、相続人でも、次男でも、他家に奉公に出して、他人の飯を食べさせ、苦労と修行を積ませること。」と細かく定めている老舗もあります。血のつながりより、家職が継続することのほうが、重要なのです。

●今風に言えば、至極当然のように思えますが、100年、200年以上前の、江戸時代にあって、いくら家職が重要とはいえ、なかなか、他から後継者を選ぶのは、そう、簡単なことではありません。まして、外部からの招聘や、内部からの昇格登用となると、摩擦やしがらみもあるでしょう。

●現代の最先端企業でも、後継者へのバトンタッチで失敗している、失敗した企業は枚挙に暇がありません。それほど、経営を代々引き継いでいくことは、難しいことなのです。企業の寿命は30年、三代目で家をつぶす、などは、昔からよく言われていることです。

●重要なことは、単なる世襲や血族へのバトンタッチではなく、家職=企業の存在価値を後世に伝え、それを高めていく経営者を選ぶには、能力と人物で選ぶことだということです。簡単なようで、最も難しいことでしょう。やはり、代々、継続している老舗には、「変えてはならないきまり」があって、その最たるものが、この「家職継続の考え方」なのです。

●次の研究テーマは、では、本当に後継者を選ぶための、あるいは、後継者としての教育、研修などが、実際にどうだったのかのを、検証してみることが重要ではないかと思っています。あるいは、後継者選びのキーポイントは何か、長男を含めた血族への後継のための方策などでしょうか。

●次の「老舗研究シリーズ」は「事業ドメインの設定の縛り」というテーマでお届けする予定です。お楽しみに。
プロフィール

drecom_hnaruoka195...

タグクラウド
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ